Ludwig '62 Oyste Blue Peal 14X5.5

Ludwig & Ludwig 1920 (1924~8) "Universal Model" 6Lug


     
   
   
   
   
       

小宮試奏レポート

1920年代前期、詳しくは1923年以前に製造されたシンプルなシングル・フランジ、
6テンションのニッケル・オーヴァー・ブラス(N.O.B.)スネア。
ほぼ100年が経過していることになりますが、すべてが完璧な状態です。

シェルは、エッジ部分の折り返しが3角形でシェルに溶接されている2ピースのヘヴィ・ブラスで、
現在でもアメリカのレコーディング現場では、そのサウンドが神格化されていたりします。
ご存知の通りこのブラス・シェルは、
1923〜25年のブラック・ニッケル・メッキ/8テンション/スクロール彫刻の“オリジナル”ブラック・ビューティーとも、
1926年以降のブラック・ニッケル・メッキ/10テンション/フラワー彫刻の“オリジナル”ブラック・ビューティーともまったく同じです。

ちなみに“オリジナル”ブラック・ビューティーと同様に、
このニッケル・メッキのヴァージョンも8テンション〜10テンションへと仕様変更していきます。
当時、口径は14"と15"の2種類、深さはそれぞれに4"、5"、6.5"の3種類の合計6タイプがライナップされていて、
中でも本器の14"×5"は、名称通りオールラウンドに使えるスタンダードな存在と言えるでしょう。

個人的にこのニッケル・オーヴァー・ブラスの2ピース・シェルは大好きで、
もう長いこと8テンションの14"×4"(Dance Model)を愛用していますが、とにかく圧倒的に太い音色で、
基音がかなり遠くまで飛んでいく印象です。
さらに反応も速く、どこまでも繊細で、演奏していると様々なイマジネーションが湧いてくる……。
そんなイメージを持って叩いた本器は、シェルが1インチ深くなったことで胴鳴りの芳醇さが増し、
テンション数が少なくなったことで、さらにオープンになっていますね。

反応速度も十分に速く、6テンションでも薄いブラス・シェルのパイオニアのような大味なルーズさがないのも特徴です。
音の太さ、塊感も強いですが、その中にある大らかで、やわらかな響きが最高ですね。
歴史の深さを感じる圧巻の鳴りです。

やっぱり、個人的に音色だけで考えるのならば、
“プアマンズ・ブラック・ビューティー”と愛着を持って表現される“ニッケル・オーヴァー・ブラス”が好きですね。