宮
試
ラディックのジャズ・フェスティバルを世界的な名器に押し上げたのは、
もはや説明不要のザ・ビートルズのドラマー、リンゴ・スターです。
リンゴの愛器は1963年のブラック・オイスターで、本器は1966年のブルー・オイスターですが、
あの独特の丸く、太く、ふくよかなサウンドは、間違いなく共通しています。
オイスター系のカバリングは、材自体の厚み(薄さ)が絶妙で、
マホガニー/ポプラ/マホガニー3プライ+(単板)メイプル・レインフォースメント・シェルとの密着度が完璧です。
個人的な感覚では、ブラック・オイスターとブルー・オイスターの音色はまったく一緒なので、
このスネアはもう、リンゴ・サウンドだと言って間違いないと思います。
その特徴を踏まえた上で、この個体ならではの特筆すべき“プラスアルファ”を強く感じました。
まずフープですが、トップはブラス、ボトムがスティールとなっています。
1966年はある意味過渡期でもありますので、フープはブラスとスティールが混在している例が稀にあります。
おそらくトップが2ndのブラス(=少し厚め)、ボトムが3rdのスティール(=薄め)でしょうか、
この組み合わせがとにかく素晴らしいです。
ブラス・フープ特有の太さ、柔らかさ、感触の良さがありつつも、サステインに絶妙な明るさと広がりが加味される感じがします。
そしてもう一つ、スナッピーが乗るスネア・ベッドの幅が広く、“えぐり”がなだらかになっているため、
スナッピー・テンションの使える範囲が広いんです。
65年、66年あたりのラディックのウッド・シェルで、こういう状態のものが稀にあるのですが、
個人的にこの仕様が大好物で、タイトでもルーズでもスナッピーが使えるのは本当に楽しいです。
ということで個人的に超絶にオススメのジャズ・フェスティバル、ルックス、サウンド、どちらも最高です!
|