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1968年製のスープラフォニック402ですが、本器はちょっと普通じゃない特別な個体です。
シェルはアルミ合金(ラディアロイ)で、これはこの時代のスタンダードですが、
まずシェルに取り付けられたインナーマフラー(内蔵ミュート)が
(この時代の)標準装備のラウンド・ノブ(ラウンド・フェルト)タイプではなく、
ベースボール・バット・ノブの(四角い)白フェルトが装着されています。
ラウンドとベースボール・バットでは、単にパーツとしての違いだけでなく、シェルに開けられる穴の径自体が異なるので、
これは「たまたまそこにあったからつけた」という類いのものではないと想像します。
さらに非常に希少な3rdジェネレーションのブラス・フープが上下に装着されています。
3rdジェネレーションのフープは、スティール製が一般的で、ごく稀にブラス製も存在するのですが、
それもほとんどが1966〜67年製に限られています。
1968年製のスープラフォニックとしては特例中の特例といえるでしょう。
そして個人的に一番グッときたのがスネア・ベッドです。
通常のなだらかなスネア・ベッドから、
さらにちょうどいい幅で深めにえぐられているのです(小さなハンマーで叩いたであろう打痕が見て取れます)。
勝手な想像で恐縮ですが、本器は、当時のエンドーサーか、
またはラディック社に強くリクエストできるようなドラマー(ドラム・ショップ)がこの仕様でオーダーした逸品で、
さらにスネア・サウンドに精通したドラマーかドラムテックが手を加えたのではないかと。
そのくらいにこのスネアのサウンドは特筆すべき素晴らしさです。
「これぞラディックの402!」という圧倒的な基音のヌケと超気持ちいい倍音が見事に溶け合います。
その上でスナッピーがビシッとまとまって綺麗に響くという完成度の高い音色にうっとりしますね。
スナッピーは、オリジナルの18本でも完璧ですが、
ジョン・ボーナムのようにグレッチの42本を張ってもバッチリだと思います。
最高の楽器ですね。
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