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試
「ZILDJIAN Co」の刻印の両端が深いのが特徴の“トランス・スタンプ”期のAジルジャン、
正確には1939年から1955年までの期間に製造されたものです。
この頃は、もちろんハンド・ハンマリングで、レイジングも職人の手によるもの。
当然、個体差も激しいんですが、すべてが“極上の個性”と捉えることができて、
すべてが魅力的なのもトランス・スタンプの特長だと思います。
「どれも違って、どれも良い」という感じですね。
2023年に創業400年を記念して、ジルジャン・ファミリーが貯蔵していた“お宝”=400枚の新品ヴィンテージAを発売したのですが、
すべてトランス・スタンプだったという事実が、すべてを物語っていますよね。
歴史的な名器、素晴らしいシンバルなのです。
24"で3,445グラムだと、どちらかといえば厚めでヘヴィな部類に入ってくると思うのですが、
実際に演奏してみるとトランス・スタンプ独特の素材の柔らかさからくるのか、
かなり薄いジャズ・ライドを叩いているような錯覚におちいります。
どこを叩いても粒立ちは限りなくクリア、
常にまとわりついてくる心地良い中低域、
クラッシュしたときの繊細さ、
レガートでの立ち方と広がり方のブレンドが、もうすでに音楽になっています。
カップはしっかり厚みがあるので気持ち良く抜けます。
トランス・スタンプの24"というだけでもう間違いないのですが(笑)、
なんでもできる、なんでもこれ1枚で表現したいと思わせてくれる、絶品の1枚です。
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